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フリーポートキャンペーン:第0話

プレイした日:2003年01月01日
参加したPC:ギールザス、スクリル、ヘラルド、リルグレイド
パーティレベル:1


今回は日本語版PHB巻末にあった『病魔の坑道』のシナリオをプレイしました。


バーバリアンのギールザス、ヴァイパーを友に連れるドルイドのスクリル、クレリックのヘラルド。
そして私、クレリックとレンジャーのアプレンティスであるリルグレイドはフリーポートを拠点に活動する冒険者だ。

我々は、今スネークコイル山脈に近い村に来ているのだがそこで一つの噂を耳にする。
なんでもドゥヴィク峠にある街で何か事件が起きているらしい。
我々は冒険者の常として、何か金になる仕事があるかもしれないと思い、ドゥヴィク峠の街へと向かった。

ドゥヴィク峠の街といえば、銀の鉱山で知られた所だ。
恐らくは鉱山がらみであろう。

だが、街を襲っている事件はさらに恐るべき物であったのだ。
街全体で焦熱病が流行っているのだ。
どうやら井戸水が感染源の様で既に多くの人が焦熱病によって倒れている。
何らかの理由によって水が汚染されたのだろうか…。

街にやって来た我々を一人の女性が訪ねてきた。
彼女はアリアンナ・ツングスタンと名乗り、冒険者である私達に依頼をしたいということであった。
もちろん我々は依頼を受けるためにやって来たのだから、引き受ける事にする。

依頼の内容は彼の旦那、ジェイセン・ツングスタンの捜索というものだった。
ジェイセンは主任鉱山技師として銀鉱山で働いていたが、二週間前から戻らないと言うのだ。
また、二週間前というと街で焦熱病が発生し始めたころでもある。
どうやら、鉱山にただならぬ事態が起こっていると見て良さそうだろう。

100gpの報酬で依頼を引き受けた我々は早速鉱山へ向かう。
鉱山入り口周辺は、そびえ立つスネークコイル山脈の頂からの冷たい風に吹き付けられていた。
霜柱の立った地面には、工具やつるはし、シャベルなどが散乱し、降り積もった新雪に半ば埋もれたものもある。
暗い坑道は、鉱山の奥へと続いている。
岩がむき出しの坑道は気の枠組みで補強されているが、奥の方は明かりが無いので暗くて見えない。

陽光棒を点けると、私とギールザスが前に立って坑道内部へと入っていく。
ふと坑道を支える木の枠組みを見てみると、最近起きた戦いで傷ついているのが目に付いた。
明かりを近づけて詳しく見てみると、血の跡もついている。
やはり、坑道の奥には何か危険なモンスターが潜んでいそうな予感がする。

緩やかな下り勾配の坑道を進んでいくと、無造作に四角く削り出された小さな広間に出た。
縦横25ft.といったところであろうか。
その広間の真ん中にひっくり返った二台の手押し車があり、周囲に大量の石が散乱している。
多分銀鉱石だと思うのだが、我々ではそれは鑑定出来なかった。
それからギールザス、勝手に持ち出すのは良くないと思うぞ。

しかし、問題は手押し車のしたから見えている人間の下半身らしきものだ。
それはピクリとも動く様子はない。
もう死んでしまっているのだろうか?

私は台車に罠がかかっていないかどうか調べてからギールザスと一緒にその下敷きになっている人物を引き出した。
と、いきなり天井から雷石が落ちてきて派手に炸裂する。
ものすごい音で鼓膜がどうにかなるかと思ったが、幸い私もギールザスも無事であった。

ちゃんと罠は調べたつもりであったが、見つけられなかったようだ…
やはりローグのように上手には出来ないか。

雷石の音は坑道中に響き渡った事だろうが、何かがやってくる気配は無かった。
とりあえず、台車の下にいた人物を見てみる。
すると、その人相風体からジェイセン氏であると判った。
だが、残念ながらもう死んでしまっていた。

彼の遺体は目に見えてひどい有様だった。
胸部から首にかけていくつも刺し傷があり、どうやら何者か達になぶり殺しにされたようだった。
刺し傷のなかにはクロスボウ用ボルトが折れて突き刺さったままになっているのもあった。
敵は、道具をつかう連中のようだ。

また、医術の心得のあるスクリルが見たところジェイセン氏は
焦熱病に似た症状を患っていた事、死後二週間は経っている事が判った。

我々がアリアンナさんから受けた依頼はこれで完了してしまった。
だが、私としてはこの坑道をこのままにシテオクのも問題があると思う。
もう少し探索を続けることを主張すると、みんなもそれでかまわないようであった。

部屋には南側の入り口へ続く坑道の他に、
東と西に坑道が延びていた。
西側は30ft.先に扉があり、東側は緩やかな下り傾斜の坑道がずっと奥まで続いていた。

我々は西側に進むことにした。
話し合いの結果、プロのしかけた罠は素人では見破れないし解除出来ない事で結論を得た。
と、言うわけで扉は鍵の有無だけ確認しギールザスに開けてもらう。

しかし、うっかり聞き耳を忘れたのは失敗であった。
駆け出しの頃にある微笑ましいミスだ。
だが、状況はちっとも微笑ましく無かった。

扉の中は大きな部屋になっているようで、私の位置からではよく見えないが
中に何者かが待ちかまえていたようなのだ。

レプタリアン達だ!
中を覗いたギールザスが叫ぶ。
恐らくコボルトという奴らだろう。

こいつ等が今回の事件の犯人だろうか?

テーブルでバリケードをつくってそこからクロスボウを撃ってくるコボルト達。
私も自慢の弓で応戦するが、上手く当てられない。
ヘラルドがスリープのスクロールを持ってきておりそれで敵を一網打尽にすることに。
彼はボコブの信徒であり、魔法の領域を持っているのだ。

しかし、敵も然る者何人かはこれに耐えたのだ。
そして、実は私も呪文の範囲にいたのだが、見事に眠気に囚われる事に…
私も精進が足りない。

ヘラルドに起こしてもらうと、
ギールザスと実はギールザスより筋力のあるスクリルが飛び込んでいき、コボルト達を叩き伏せていた。
一匹こちらに逃げてきたがそれもどうにか撃退することに成功する。

我々はこの部屋の北にある扉からさらに先へと進んでいく。
少し進んだ先に扉があり、そこを開くと細長い部屋に続いていた。
この部屋には食料や食料の入った棚がならんでおり、部屋の四隅には重そうな黄麻布の袋が積まれていた。
北側の壁の側には数個の樽がまとめて置いてあり、その背後に五体のコボルトがクロスボウを構えて待っていた。

こちらも、先ほどの部屋でコボルトが使っていたテーブルを持ってきて遮蔽として
射撃戦を展開することにする。
スクリルがテーブルを持って前進しつつ、私がその影から弓を撃っていく。
《近距離射撃》の有効射程は30ft.だし、ギールザスが近接攻撃をしかけに行くためにも
私達二人はテーブルごと食料庫(?)に侵入していく。

しかし、敵はそれを待っていたかのように罠を発動させてきた。
くそ、やってくれる。

天井から小麦粉袋が落ちてきて地面に落ちると、部屋一帯が小麦粉で視界が塞がれてしまう。
さらに、二体のダイア・ヴィーゼルが小麦粉の霧に隠れて襲いかかってきた!

そのうちの一体に噛みつかれ、そのまま食らいつかれてしまう。
しかし、何とか血を吸われる前に殺すことに成功する。
スクリルの連れているヴァイパーの毒がダイア・ヴィーゼルの体力を落としてくれたおかげだ。
もう一体がギールザスに噛みついたが、これも血を吸われる前に倒すことに成功する。

だが、ダイア・ヴィーゼルに噛まれた傷口がどうにも気になる。
もしかすると、私は…。

ヘラルドの癒しの魔法で回復してもらい、コボルト達と決着を着けるべく再度食料庫へ向かう。
とりあえずEntropic Shieldの20%の確率はやはり20%の確率でしかない事を学んだ私は
テーブルで遮蔽をとりつつ撃っては伏せて完全遮蔽をとる。

再びスクリルがテーブルを前に動かし始め距離を詰め
ギールザスは移動しては地面に伏せ、立ち上がり移動しては地面に伏せ…を繰り返してコボルト達に向かっていく。
そうしてついにギールザスは樽の正面まで到達する。
樽越しにリーチウエポンで攻撃をしかけコボルト達を倒していく。
そこにスクリルも加わり、形勢は我々に有利になったようだ。

しかも敵はもう矢が尽きてしまったらしい。
状況は完全にこちらに有利になった。
勝負は、決した。

私達は勝利することが出来た。
が、決して楽な勝利ではない。
我々もまた、満身創痍であった。
これ以上の探索は無理と判断して、今日は街に戻ることにした。

とりあえずヘラルドはDetect Secret Doorsで隠し扉を探すが、今回探索した場所には無いようであった。
最初の広間にあった台車を使って、ジェイセン氏の遺体とコボルト達が持っていた武具一式を持ち帰る。

街に戻った我々はアリアンナさんに遺体を引き渡した。
彼女もこの結果は予想していたらしく、特に取り乱す様子もなく我々に報酬を支払ってくれた。
また、コボルト達からの戦利品を売り払いお金に換える。
そして、街の長老達に鉱山での出来事を報告しにいくことにした。

だが、その時私の躰はもう既に病魔に冒されていたのだ。
焦熱病が発病し、私は倒れてしまう。
予想通りだ。
スクリルの連れていたヴァイパーの毒も発病した。

しかし、ギールザスはダイア・ヴィーゼルに噛みつかれたにもかかわらず発病の兆しはない。
さすがは、ハーフオークだけのことはある。頑強な肉体だ。

私は生死の境をさまようが、スクリルの献身的な看護のおかげでどうにか命を取り留める。
が、私の看病をしている間はヴァイパーの面倒を見ることが出来ないと言うことだ。
ヴァイパーは私以上に生死の境をただようが、何とか峠を越え、快復に向かう。

我々は今後の方針について話し合うことにする。
依頼は果たしたのだし、感染病の蔓延するこの街からは一刻も早く立ち去るべきだと言う意見がでる。
だが、私としてはこのまま放置しておく気にはなれない。

我々の方針、街の今後の方針等々、いろいろ話し合った末、
兎も角坑道内を全部探索しておこうという事になる。

焦熱病により失った私の体力が完全に戻るまでの間に冒険の準備を整える。
コボルト達からの戦利品により資金は潤沢だ。
病原体を焼き払うことも視野に入れ錬金術師の火やオイルを買い込む。
焦熱病は接触感染であることが判ったので、手袋を買い素手で物を触れないように気をつける。
そうして、我々がこの街に着いてから7日後、再度坑道に挑むときがやって来た。

相変わらず坑道は不気味に静まりかえっていた。
台車のあった広間までくると、今度は東の方へ向かって進んでいく。
先頭をギールザスと私がつとめ、その10ft.後ろからスクリルとヘラルドについてきてもらう。

下り勾配の道を進んでいくと、途中なにかトラップのスイッチを踏んづけてしまう。
見ると、私達の後ろ10ft.四方の床が抜けて落とし穴になっていた。
しかし、後衛はちょうど10ft.離れて歩いていた為難を逃れる。
まぁ、運も実力のうちということで。
ありがとうございますファーラングン様。

その先は非常に広い洞窟が広がっていた。
どうやら、嘗ての中央鉱区だった場所のようだ。
地面からは人間大の石筍がいくつも突き出しており、それらや岩壁に青緑色に光る苔がびっしりと生えていた。
数秒ごとに微かな光を放って明滅しており、
その光が西側の巨壁の表面に含まれる細かい銀の粒に反射してキラキラと輝いていた。

そして多くのコボルト達の遺体が、横たわっていた。

焦熱病にやられたのだろう。

巨壁の一部に空洞があり、そこからローブが垂れ下がっている。
また、北東には東に続く坑道が見えた。
辺りを捜索してみるが、コボルト達は完全に全滅しているようで
誰かが潜んでいる気配は全くなかった。

進むべき道は三つあるが、我々は東へと向かう。
つまり、坑道の最奥へと向かうのだ。
私の勘では、この先に焦熱病の感染源となる“なにか”があるような気がするのだ。

暫く進むと、熱波が洞窟を吹きぬけていった。
空気はどろどろとした感触になり、息苦しい。
小さな洞窟にたどり着くと、地面がすり鉢状になって、そこに多くの人間やコボルトたちが横たわっていた。
おそらく死んだ鉱夫達と例のコボルト達なのだろう。
その中には、まだ命があるかのようにピクピクと動いているものもいくつかある。

・・・

ありえねぇ!

速攻アンデットと断定し、ヘラルドと私はアンデット退散を試みる。
と、ここで私はホーリシンボルを買っていない事に気がついた。
もうしわけありません、ファーラングン様…。

私が自戒の念に囚われていると、死体穴からゾンビが起きあがってくる。
四体の鉱夫のゾンビと四体のコボルトゾンビだ。

しかし、ヘラルドの掲げた聖印からほとばしるポジティブエナジーに撃たれて
八体のゾンビ達は全てターンされる。
逃げていくゾンビを追撃して洞窟の奥へと走る。

奥は水源になっているらしかった。
坑道もここで行き止まりらしく、広い洞窟があり、その中央に池があった。
池は小川となって部屋を横切るように流れ、洞窟の南端にある岩壁の下へと勢いよく流れ込んでいる。
池からは青緑色の苔をまとわせた一本の岩柱がそそり立っていた。

そして、その柱の後ろから何者かが憎しみのこもった呪いの言葉を浴びせてきた。

しかし、その姿は何処にも見えない。
どうやら、Invisibilityの魔法で透明化しているらしい。
音を頼りに居場所を探すが、なかなか特定できない。

そのうち敵はSummon Monsterを使いフィーンディッシュバイパーを呼び出す。
さらにスクリルに対しHold Personをつかってくる。
しかし、スクリルはこれに耐えてみせる。

敵の正体はオークのクレリックの様だった。

どうにかフィーンディッシュバイパーをやっつけ、オーククレリックに迫る。
今度はDarknessを使い闇の中に隠れるオーククレリック。
しかし、音で大体の位置は把握している。
私は闇の中に矢を撃ち込んだ。
確かな手応え。
さらにギールザスが追い打ちの一撃を入れる!
闇の中で、オーククレリックは崩れ落ちるのであった。

邪悪なクレリックを倒すと同時に、洞窟内で驚くべき変化が起こった。
だが、今はそれどころではない。
まだゾンビ達が残っているのだ。

ターンアンデットの効果がきれ、襲ってくるゾンビ達。
しかし、何とかこれを打ちのめし、全てのアンデットを塵に帰すことに成功する。
だが、この戦いでスクリルのヴァイパーが命を落としてしまう。
まだ病み上がりで、本調子では無かったのだ…。

我々はヴァイパーくんの事は忘れないだろう。
彼がいなければ、死んでいたのはあるいは、私だったのかもしれないのだから…。

幾つか語るべき事が残っている。

まず、坑道の奥にあった水源が井戸水を汚染し、焦熱病を街に流行らせた感染源だったのは間違いないようだ。
だが、あのオーククレリックの死と共に、呪われた水源は浄化され、もとの綺麗な水に戻った。
水源が浄化されたため、病床にあった街の人達の多くも快復に向かった。

鉱山そのものはまだ感染源が残っている可能性があるので
我々と動ける街人達を動員して、ことごとく熱焼却処分した。
再び鉱山が賑わう日も近いだろう。

鉱山内を探索した結果、幾つかの財宝を入手した。
また、あのオーククレリックもマジックアイテムを所持していた。
所有者が判明する品物に関しては、その遺族に返し
それ以外の品については我々の戦利品ということでもらい受けることにした。

我々は街の住人達から多いに感謝され、
鉱山を奪回し焦熱病の原因を取り払った英雄として歓迎されるようになった。
かくして、我々のドゥヴィク峠での冒険は素晴らしき勝利をもって終わりを告げる。

…だが、私達はまだこの時は知る由もなかった。
オークの神、一つ目のグルームシュがオークの諸部族に我々の首を捧げよとの触れを出した事などは…。


―リルグレイド・グレンゼアの手記より―

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